文京区の北端・本駒込にある 都立庭園「六義園」は、桂離宮の庭園の様式を採用した回遊式築山泉水庭園で、国の特別名勝にも指定されている代表的な江戸大名庭園だ。
約300メートル四方の敷地内に、池や山など多彩な地形が再現されており、様々な景色を楽しむことが可能だ。季節ごとに様々な花が咲き、11月には紅葉に彩られる。桜や紅葉が見頃となる3月下旬や11月下旬には、開園時間が延長され、木々がライトアップされるぞ。
Ingressのポータルも充実しており、敷地内だけで30以上にも上る。一般300円、65歳以上150円の入園料が必要だが、プレイヤー密度が低めなので、ゆっくりコントロールフィールド作成などを狙ってプレイできるだろう。
この記事では、そんな六義園と周辺の見所を紹介していくぞ。
六義園は、徳川五代将軍・綱吉に御側御用人として仕えた柳沢吉保が、7年がかりで作り上げたもの。明治時代に三菱財閥の創業者・岩崎弥太郎の手に渡り、1938年に東京市に寄贈された。敷地を囲む赤煉瓦の塀や正門は明治時代に建造されたものだ。
園名の由来となっている「六義」とは、紀貫之が中国の詩論にならって古今集の序で提唱した和歌の分類で、「そえ歌」「かぞえ歌」「なずらえ歌」「たとえ歌」「ただごと歌」「いわい歌」からなるものだ。
内庭大門の先の広場には、しだれ桜の大木が植えられており、三月下旬ごろには薄紅色の花が満開となる。
・しだれ桜
園内には巨大な人工池・大泉水が造られており、川や島、小さな滝まで存在する。水面への映り込みまで計算された美しい風景を楽しめるぞ。
園内で一番高い「藤代峠」は、標高35メートルにもなる。「富士見山」と呼ばれる頂上からの見晴らしは絶景だ。
和歌に造詣が深かった柳沢吉保は、万葉集や古今和歌集に詠まれた紀州・和歌の浦の様々な景色を園内に再現した。その景色の数は88にも上り、「六義園八十八境」と名付けられている。
園内には案内板が建てられている他、下記のサイトで詳しく紹介されているぞ。
・The 88 Views of the Rikugien Gardens
・六義園八十八境 リスト 隅田川のほとり・・・豊島PartⅡ「六義園逍遥」/ウェブリブログ
六義園の南東には、アンパンマンで知られる児童書・おもちゃメーカー「フレーベル館」本社があり、駒込駅からアンパンマン像ポータルを目指すミッションが作られている。建物には直営ショップの「えほんとおもちゃのお店」もあるぞ。
・えほんとおもちゃのお店|通販 / 直営ショップ|フレーベル館
六義園の南東にある「東洋文庫」は、アジア諸地域の文化・歴史を記した95万点以上もの資料を収蔵する図書館だ。貸し出しは行われていないが、身分証を提示すれば一般の来館者も閲覧可能。
併設されているミュージアムでは、2015年12月27日まで「幕末展」が実施されている。
六義園の東には、都の旧跡に指定されている「駒込名主屋敷」がある。
大阪夏の陣で敗れてこの地に移り住んだ豊臣の家臣・高木将監が、開拓の功績を徳川家に認められて名主の地位を与えられたのが始まりで、現在の建物は1717年に建てられたもの。
現在も子孫が住んでいるため、敷地内は非公開となっているが、庭まで入って建物を見られる見学会が開かれることもあるぞ。
六義園の南東には多くの寺社があるが、中でも気になるのが「諏訪山 吉祥寺」という名前。室町時代の江戸城築城時に場内に創建され、徳川家康の時代に現在の都立工芸高校のあたりに移転、明暦の大火で焼失後現在の場所に移転した寺で、武蔵野市の吉祥寺という地名は、明暦の大火で焼け出された門前町の住民が移住したことで名付けられたものだ。
二宮金次郎こと二宮尊徳の墓碑があることから、学業成就や合格祈願のお参りに来る人も多いようだ。
六義園の少し西には巣鴨駅がある。高岩寺のとげ抜き地蔵で知られ、「巣鴨地蔵通り商店街」は「おばあちゃんの原宿」の異名でもお馴染みだ。4の付く日には縁日で賑わっているぞ。飲食店なども多いので、お年寄りでなくても楽しめるだろう。
巣鴨駅の南東、白山通り沿いには「ぐりとぐら」などで知られる児童書の出版社「福音館書店」がある。1952年に金沢で設立され、同年中に千代田区に移転、1984年に現在の場所に移転してきた。
有名な表紙の絵があしらわれた時計がIngressのポータルになっており、ミッションも作られているぞ。
巣鴨駅の南にある「巣鴨大鳥神社」は、住所的には文京区千石に位置する。1687年に創祀されたという歴史ある神社だ。1864年から続く「酉の市」は、2015年は11月5日(木)、17日(火)、29日(日)に開催されるぞ。
・巣鴨大鳥神社 (Sugamo Ootori-jinjya Shrine)
都営地下鉄三田線・千石駅の南にある「千石緑地」は、1989年に御三卿のひとつ・一橋徳川家から文京区に寄贈された樹林地だ。樹齢100年以上にもなるというムクノキは、区内でも有数の巨木となっている。
・千石緑地
六義園の北の駒込駅のあたりにあった染井村には植木職人が多く、ソメイヨシノの発祥の地と言われている。Ingress上にも、地名紹介パネルや「染井霊園」など、染井の名の付くポータルが点在しており、ソメイヨシノをテーマにしたミッションも作られているぞ。
駒込駅からしばらく北に行くと、国の名勝に指定されている都立庭園「旧古河庭園」がある。大正時代に建てられた洋館や薔薇園などが見もので、アニメ「冴えない彼女の育て方」や同人ノベルゲーム「うみねこのなく頃に」など、様々な作品で背景のモデルにもなっているぞ。
入園料は一般150円で、洋館内を見学できるツアー(要予約)も800円で提供されている。