プレイ料金が無料で広告表示や課金アイテムなども存在しないIngressでは、企業とのタイアップキャンペーンで収益化を計っている。この夏には三菱東京UFJ銀行、ソフトバンク、伊藤園など、日本企業との提携も急増し、活発な展開を見せている。
この記事では、これまでに実施されたタイアップ企画の事例を振り返っていくぞ。
8月にはIngressの運営元であるNianticがGoogleの一部門から企業として独立を果たし、より柔軟なタイアップが可能になった。今後どのようなコラボレーションが生まれるのか楽しみだ。
ぶんきょう・いんぐれすでも、このようなタイアップキャンペーンの情報を随時お届けしていくので、ぜひチェックして欲しい。
Ingressの公式Google+アカウントの「サークル」には、Nianticのスタッフやストーリーに登場する架空の団体などと並んで、提携先企業のアカウントも多数登録されているぞ。
ポータル過疎地域に嬉しいタイアップポータル
Ingressの企業タイアップの中でも代表的なのが、店舗のポータル化だ。日本では2014年11月にコンビニエンスストアのローソンがポータル化されたのが先駆けだが、欧米ではIngressが招待制のβテスト中だった2013年からスムージー飲料チェーンの「Jamba Juice」やドラッグストアの「Duane Deade」カーシェアリングサービスの「ZipCar」といった企業と提携して店舗をポータル化している。しかし、このうちDuane DeadeとJamba Juiceは提携の終了によりポータルは消滅してしまったようだ。
他にも、ドイツの携帯電話会社「VodaFone」など、世界各地でタイアップが実施されているぞ。
日本ではこの夏にソフトバンクショップや三菱東京UFJ銀行のATM、伊藤園の災害対応自販機が一挙にポータル化され、タイアップポータルの総数は2万以上にものぼっている。
ポータルになるような施設やオブジェが少ない地域や、ポータルが登録し尽くされてマンネリ化している地域にとっては、新たなポータルが登場するのは嬉しいところだが、一挙にあちこちにポータルが出現することでゲームバランスが崩れるのではないかと心配する声もあるようだ。
変わり種のタイアップポータルとしては、ロックバンド「Linkin Park」のツアー先というのがある。
なお、タイアップポータルを探したければ、検索機能を備えた「Ingress Mission Authoring Tool」が便利だ。
Ingressの世界設定では、文化的に重要な場所に「XM」が集まってポータルが発生するとされているが、企業ポータルにも「無意識のうちにパワースポットを選んで出店していた」というような設定が用意されており、ポータルの説明などで確認できるぞ。
アイテムコード付き商品は予備弾薬として人気
「OPS」画面で入力することでアイテムを入手できるパスコードを商品に添付するキャンペーンも、多くの実施例があるタイアップ形式だ。
手に入るのはXMPバースターやパワーキューブなど通常のハックで手に入るものばかりだが、2000個のアイテム所有数制限とは別にアイテムをストックしておけるので、大規模なイベントや作戦で大量のアイテムを必要とする熱心なプレイヤーから注目され、あっという間に品切れになってしまうことも多い。
米国では2013年初頭にも清涼飲料水「Hint Water」やスナック菓子「Popchips」のパッケージにアイテムコードが付くキャンペーンが実施されていた。
日本では、ローソンの「MACHI Cafe」カードや伊藤園のペットボトル、ソフトバンクショップの来店者向けプレゼントなど、店舗のポータル化を実施している提携企業が追加の企画として実施する例が多いが、公式イベント「XM Anomaly #Persepolis」の際には、開催地近くの「仙台パルコ」の飲食店利用者にアイテムコード入りの特典カードが進呈されるなど、他にも多数実施されている。
店舗ポータルやコラボアイテムと比べると小規模・短期間でも実施し易い形式なので、今後も実施例は増えていきそうだ。
・Hint Water | hint ingress codes
多彩なコラボアイテムがゲームに変化をもたらす
多くのプレイヤーにとって一番身近なタイアップ企画と言えば、企業やブランドの名前を冠したアイテムの登場だろう。店舗ポータルやパスコード付き商品と違って、ポータルさえあれば世界中どこでも入手可能だ。
2014年12月にフランスの大手保険会社とのタイアップで生まれた「AXAシールド」は、登場以来最強のポータル防衛アイテムとして定着している。
今年の夏には、三菱東京UFJ銀行の「MUFGカプセル」やソフトバンクの「Softbankウルトラリンク」が相次いで登場。いずれも「守る」「増やす」「繋がる」のように各企業の業種を連想させるアイテムとなっているのが面白い。
いずれのアイテムも、出現率の低いレアアイテムとなっているが、提携企業の店舗ポータルでは通常より高い確率で入手できる。また、店舗ではアイテムを入手できるパスコードを入手できるキャンペーンが実施されることもあるぞ。
新アイテムが登場すればゲームプレイに新鮮な変化がもたらされるので、今後もユニークなアイテムの登場に期待したいところだ。
ちなみに、攻撃アイテムの「ウルトラストライク」も、当時Google傘下だった携帯端末メーカー「Motorola Mobility」製の一部の端末で先行入手できるキャンペーンが実施されていた。
公式イベントにも多くの企業が協力
Ingressでは、世界各地に会場を設けた大規模イベント「XM Anomaly」など、会場を設けて行う公式のイベントも多数開催されており、イベントに伴うタイアップ企画も増加してきている。
米国でバックパックなどを販売するアウトドアグッズメーカーの「GORUCK」では、XM Anomalyに合わせて公式タイアップのイベントを開催。参加者にはプロフィール欄に表示されるメダルなどの特典が用意されていたぞ。
日本でも、会場近くの商業施設「仙台パルコ」が飲食店利用者にアイテムカードを進呈していた他、旅行会社などでもアイテムコードなどの特典が付いたツアーや宿泊プランが用意されていた。
タイアップで実現する公式ミッション
指定されたポータルを回って指定のアクションを実行していくスタンプラリー的な要素である「ミッション」も、タイアップ企画に利用されている。
店舗ポータルでお馴染みのローソンでは、「昭和時代からあるローソン」として全国に20のミッションを公開。ソフトバンクが横浜と宮城に作成した公式ミッションでは、店頭の受け付けロボット「Pepper」からクイズの答えを聞くという趣向が盛り込まれている。AXA生命でも、東京都内に「健康とプロテクション」をテーマにした6つの公式ミッションを公開しているぞ。
一般のユーザーが作成して登録申請する通常のミッションでは、個人や団体などの名前を付けることは認められていないが、タイアップによって特別に公式ミッションが実現している。
現在は店舗ポータルなどで提携している企業の追加のキャンペーンとして実施される例がほとんどだが、今後は業種によってはミッションをメインとしたタイアップも登場することもあるだろう。
・ソフトバンクショップがIngressに登場! | 特集 | モバイル | ソフトバンク
身の回りをIngressカラーに染め上げる公式タイアップグッズ
プレイ自体は完全に無料のIngressだが、「リアル課金」としてスマホ周辺機器やスポーツウェアなどプレイを補助する製品を購入している人は多い。この盛況を受けて、Ingressのロゴやカラーをあしらった公式タイアップ製品も続々登場しているぞ。
長時間のIngressプレイに欠かせないモバイルバッテリーは、「Anker」や「cheero」といった複数のメーカーから登場。ドイツの音響機器メーカー「Sennheiser」からはモバイル用ヘッドホンが発売されている。
日本での正式流通はないが、タッチスクリーン対応の手袋「Glider Gloves」もIngressエディションを発売しているぞ。
また、スポーツシューズメーカーの「new balance」では、来店者にIngress陣営カラーの靴紐をプレゼントするキャンペーンを実施していた。
ウエアやバッグ、自転車など、Ingressに役立つグッズは他にも多数存在するので、今後も様々なコラボ商品が登場するはずだ。いずれは全身をIngress公式グッズで固められる日が来るかもしれない。
・Ingress Edition Glider Gloves
・Anker Ingress 16000mAh Power Cube モバイルバッテリー